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社会保障と社会保険の概要

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日本に住み、日本で生活している人の大半は日本人です。これは、日本という国の国籍を持っているということです。そして、日本国籍を持っているということは、日本という国が身分や権利を保障するということでもあるのです。

国というのは、国民がいなければ成り立ちません。国民も、国という国際的に認められた国家という後ろ盾がない限り、一切の権利を保障されません。

国にとって、国民というのは守るべき存在であり、同時に国力を増強するために不可欠な要素でもあります。資本主義経済であり、国が何もしなくても勝ち組、負け組が次々と生まれてしまう日本の社会において、政府の役割には社会的な弱者の救済が含まれているのです。

資本主義経済は、言い換えれば弱肉強食の世界です。通常、競争に敗れた者に目は向けられません。しかし、何らかの形で競争に敗れたからと言ってそうした国民を放置しておけば、手に職を持てないものが増え、家計の収入は減り、購買力が落ち、と結果的に経済も衰退してしまいます。

利益を追求しなければならない企業にはできない、社会的な弱者への手助け。その仕組を、社会保障と社会保険という形で日本は定めているのです。

ただ、残念なことに日本の教育システムでは、社会保障が何なのか、社会保障と社会保険にどういった違いがあるのか、そもそも何のためにあり、どういう場面で自分に必要になるのか、を学ぶのが難しい状況にあります。

そこで、社会保障と社会保険の概要について、幾つかお話をしていきます。

目次

  1. 日本における社会保障とは
  2. 社会保障を支える社会保険について
  3. より具体的な社会保険の内容
  4. なぜ社会保険が成り立つのか

日本における社会保障とは

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繰り返しますが、日本は資本主義経済です。経済、市場に政府が大幅な介入を行うと、どうしても民間企業への影響が大きくなり過ぎてしまい、自発的な市場内での競争が生まれにくくなります。

そのため、社会的、というよりも経済的な強者である成功者、企業に対して、あれこれと干渉しないようにしています。

成功している内はできるだけのびのびと自由にやってもらうのが、国にとっても民間企業にとっても一番理想的な状態なのです。

しかし一方で、競争から脱落してしまった人を放置するわけにはいきません。国力を維持し、高めるために必要なのは国民です。日本の国民であり、税金を集めている以上、日本という国が考える最低限の生活保障を行うべきだと国は考えています。

日本における社会保障とは、非常に広い範囲を含みます。怪我をした、病気になった、死亡してしまった、老いてしまい独力での生活が困難になった、という人への保障はもちろん、社会福祉や公衆衛生の徹底なども国の仕事なのです。

平たく言えば、困っている人に手を差し伸べること、社会の基盤を整えて、住みやすい国作りをするのが社会保障となります。

日本の社会保障の中には社会保険だけでなく、先ほども触れた社会福祉、衛生なども含まれています。社会保障を支える幾つもの仕組みの中で、今回取り上げるのが社会保険というシステムです。

社会保障を支える社会保険について

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社会保険というのは、一定の条件を満たした人に対して、金銭、ないし現物での給付を行い、困窮している状態から脱出できるよう手助けをするシステムのことです。

怪我、病気、介護、労働災害など、個人の努力で避けられないような出来事に対して、国民全員で保険をかけておこうというわけです。

社会保険は、大きく5つの保険から成り立っています。医療保険、年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険です。

一口に社会保険と言ってもこれだけの種類の違いがあり、さらに例えば同じ医療保険でも、健康保険と国民健康保険では加入条件や給付される内容が変わってきます。

5つの社会保険は全く内容が違っており、さらに管理も独立されているため、実態としては良く分かっていないという人が多いのです。

大まかに社会保障については学校の勉強でも触れられますが、実際の手続きやどのような保険があり、自分がどれに当てはまるのか、といった知識は気になった時に自分で調べるしかない、というの現実です。

保険というのは、実際に何か困ったことが起こらない限りは頼ることのないものですので、自分が今どの保険に加入しており、いくら支払っており、どのような保障がされており、そしてそれが正しいのか分からないのです。

本当に何事もなく、保険に頼ることなく生活することは不可能です。怪我や病気は一生涯しない、定年退職をした後、年金の給付を受けない、失業した時に失業保険を頼らない、介護に関しても同様で、ということであれば話は別ですが、なかなかそうはいきません。

基本的に、社会保障というのは日本国民全員が受けられるように整えられます。しかし、金銭的な給付をするにしろ、現物での給付をするにしろ、元手が必要です。

そのため、社会保険に関しては原則として条件を満たしている全国民が加入することが義務となっています。国民が加入し、保険料という形で必要なお金を集め、そのお金を今現在困窮している人に再分配するわけです。

社会的な弱者への給付となること、営利を目的としたことでないこともあって、国、ないし地域による管理がされています。

より具体的な社会保険の内容

社会保険の内容は5つです。簡単に、5つの保険について説明を加えておきましょう。

怪我や病気で病院での治療を受けた場合、日本では3割の負担で済みます。これは、社会保険のひとつ、医療保険に加入しているからです。

会社員ならば健康保険、アルバイトや自営業ならば国民健康保険に加入し、所得に応じた保険料を払っています。このお金から、7割の治療費が拠出されているのです。

年金保険は、数十年間の積立を行うことで、老齢になってから一定額のお金を受給できるというシステムです。通常の年金だけでなく、事故の後遺症などで障がいを受けた時の障害年金も含まれています。

介護保険は、介護が必要になった場合にある程度の保障をしてもらえる保険です。介護にはお金が掛かるため、金銭的な負担の軽減や、サービスの受給が可能となります。少子高齢社会である日本には必須の保険です。

雇用保険は、突然失業してしまっても、一定期間もらっていた給料のいくばくかを受給できる保険です。受給額は所得に応じて変わり、再就職までの生活がしやすくなります。

労災保険は、労働中に起こった事故や怪我、災害に対する保障です。仕事中に事故に巻き込まれ、入院をしたりすると治療費がかかり、その間の収入が途絶えます。そうした事態に対応するためのシステムです。

大まかに、これくらい違いを知っておけば良いでしょう。

なぜ社会保険が成り立つのか

社会保障、社会保険が成り立つのは、相互扶助の考え方とシステムがあるからこそです。営利的な保険ではカバーできない部分にまで手を伸ばせます

国民や企業の収入に応じて負担額が決定され、特に会社員の方は毎月給料から天引きされていく保険料ですが、財源があるからシステムは成り立ちます。

今困っている人のために保険料を払うのはもったいないと感じるかもしれません。ですが、人生において自分が困った時、社会保険のことを知っており、なおかつきちんと手続きができれば状況は楽になります。

社会保険に関する調べ物や考えを放棄していると、困った時に慌てて調べることになります。余裕のある時にこそ社会保障、社会保険について知っておいて欲しいのです。